映画「下郎の首」(1955年・新東宝)
2011年09月25日 (日) | 編集 |


下郎の首


(あらすじ)※衛星劇場より
父親の仇を捜す小心者の息子・結城新兵衛と奴の訥平は、ついに、ある城下町で仇の須藤厳雪を討ち、長年の念願を果たす。
しかし、その時から、須藤の息子・静馬をはじめとする一団に追われることになり、新兵衛の裏切りで訥平は無念の死を遂げる。サイレント時代に伊藤大輔監督が撮りあげた『下郎』の再映画化作品。

(キャスト)
田崎潤 瑳峨三智子 片山明彦 小沢栄 岡譲司 他

伊藤大輔監督作品

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(感想等)

橋蔵さんの「この首一万石」(1963年)は、伊藤監督による再々リメイク作品であることを初めてしりました。
本作は、1920年の伊藤監督の「下郎」@サイレント映画のリメイク作品だそうです。

個人的にタイトルロールにあたる奴(やっこ)さんの悲哀度は、
「この首一万石」より強いなぁ・・・と感じました。
東映作品だとどうしてもスター前面的になってしまうせいでしょかね?
(作品のアプローチは微妙に違うので、どっちも好きですけど)

主演の田崎潤さんは、私は時代劇@テレビでちょっと脇で拝見したり、東映時代劇にも脇でちょこっと拝見してますが、主役では初です。
お妾さん役の嵯峨さん、既にもう活躍してらしたのか( ̄□ ̄;)!
でも、嵯峨さん前年に菊五郎劇団出演の「江戸の夕映」(1954年)に主役の九世海老さまの相手役のお登勢やってましたもんね
1954年当時で19歳!?この作品では20歳!?ひえぇぇえ~嵯峨さん、うますぎ。
そしてその年齢にしてその色気!!おそろしー(笑)
(若干20歳でお妾さんの役ですぜ!)

この映画結末は悲惨なのですが、嵯峨さん演じるお妾さん@お市と、奴さんの出会いの雨の場面とか情緒的な場面もあるのですね。
この雨宿りの場面、雨宿りする人々の市井の雰囲気が出ていて好きなのですが、
更に奴さんとお市が出会い、ちょっとずつ魅かれていく様子も自然なんですよね。
(奴さんは職務に忠実なので、自分が仕えている殿さま中心なんですけど)

奴さんはまっつぐな性格なんだけど、ちょっと不器用なところもあり、
そこんところが見ている側ももどかしいのですが、
奴ゆえに学も無く、それ故に後々可哀そうなことになるのですよね。
そんな奴さんだからこそ、下のものが置かれた悲哀をより深く感じ取ることができるとも感じました。
(東映版との違いの一つでもありますよね)

丹波哲郎さんがちょい出してます(奴さんと仕えている結城新太郎の仇かと勘違いした侍役)w

結城新兵衛は、病に伏したりしますが武士としてのプライドは高いです。
奴さんがお妾さん宅にいた時にやってきたお妾さんのご主人が、実は偶然結城新太郎の仇で、
お妾さんのご主人と奴さんがもめた末に奴さんが殺してしまった後、
奴さんが仇の人物だったのを気づいたんですよね。
そのことで、自分で仇を討てなかった結城新太郎は奴さんに怒りまくります。
(そこんところのプライドが後々の悲劇に・・・・)


仇の一味より下郎=奴さんを引き渡せと書状を受け取った新太郎は、
そのプライドと、いや仇をとってもらって国元に帰るチャンスさえもできたではないかという両方の思いで葛藤しますが、
結局新太郎は奴さんに書状を届けろと言いつつ、奴さんを仇の元へやってしまいます。
(ここんとこの人間としての主人の葛藤も東映版には無い部分)

新太郎が自分を裏切ったことを信じられない奴さんが、
字が読めない故に、奴さんをどうにでもしていいと書いた新太郎の書状を必死の思いで第三者に読んでもらおうとする姿に胸が締め付けられます(TωT)

追いつめられた奴さんが大立ち回りする場面、奴さんを追いかけてきたお市が共に切られ、
這いつくばりながら二人抱き合って息絶えるところまでも壮絶です。
そして、物凄く哀しい・・・・・。

後悔した新太郎が、現場にやってきた時はすでに遅し。
奴さんの敵をとろうとしますが、相手に強烈な言葉のパンチを喰らいます。

・・・そうだよね・・・・時すでに遅し。
見殺しにしちゃったんだ(´・ω・`)

主従関係故の下の者の悲しさもあるけれども、
上の者(新太郎)の人間としての葛藤も(情けなくはあるけれども)分かるし、
心の描き方が良いなぁと感じました。
(お妾さんのところもね!)

どうすれば良かったのかというより、
なるようになってしまった・・・・とも言えるような。
(新太郎が奴さんを見離さなかったら・・・・という考えもあるけれども、
そうしたところで二人もろとも逝ったんだろなぁ)
派手さは無いけれども、じわじわっと心に響く、哀しい物語でございました。





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テーマ:時代劇映画
ジャンル:映画
コメント
この記事へのコメント
こんばんは
嵯峨さん、ほんとうにええ女どしたねえ。
小生、田崎潤さん目当てでこの映画を見に行って、嵯峨さんに見惚れました。時代劇は少ないけど天才肌ですよね。夭折が本当に惜しまれます。

怒るも笑うも豪快な田崎さんの、珍しく静かな語りが魅力の映画でした。
マキノ監督の、元祖次郎長三国志9部作は、桶屋の鬼吉がやりたい一心の田崎さんが持ち込んだ企画だそうです。
最高にチャーミングな鬼吉で、未だに超える人はいないと思います。機会があればぜひ。
週末は同じくファイターズ見てゲンナリでした。杉浦さんの旧作家で探して見つからず、又ゲンナリ。
子供の頃のイメージを裏切るかっこ良さを発見してからは、長生きして欲しい俳優さんの一人でしたが・・・財津一郎さんと共に「若い頃のフェロモンダダ流し状態」な意外さ探る秘かな楽しみだったのに。

そうこうしてて、月もかわりCS情報チェックも怠ってましたので、こちらの情報見るのが手っ取り早い(汗)と。重宝してます。

日本映画ch&時代劇chカツライス特集、もう少しレアな放映から・・のつもりが、「10分もの特番」を作った方の苦労話を読んで、今月から契約。
まあ、雷蔵のは水準以下の作品はないので何度見てもいいか、と思うことにしました。
相変わらず、どこもコレといった放映は無さそうですねー。
「冷や飯と~」は錦ちゃんが重病の頃、初めて見たのですが、何とか長生きして!とお天道様に本気で手を合わせてました(恥)。 
これ1本で、彼がいかに不世出の役者さんなのかが解ると言うものです。
未見なら、放映が楽しみですよね!
2011/10/02(Sun) 20:52 | URL  | 通りすが郎太 #GAkJEmLM[ 編集]
通りすが郎太さんへ
嵯峨さん、少女と言っていい年齢であの落ち着きと色香は得難いものですよね。
全盛の時の活動期が殆ど10代後半~20代までということ、
晩年はちょっと悲しい人生だったこととか、繊細な方だったのでしょうか。
また機会があったら別の作品を拝見したいものです^^

田崎さんご出演の次郎長三国志は今度DVD化されるやつですね!
「ワンピース」の作者の尾田栄一郎氏がジャケを描き下ろしたというので、
どこぞの記事で覚えておりました(笑)。
今月から毎月1セット、合計3セットが出るそうですね
http://www.amazon.co.jp/s/ref=nb_sb_noss?__mk_ja_JP=%83J%83%5E%83J%83i&url=search-alias%3Daps&field-keywords=%8E%9F%98Y%92%B7%8EO%8D%91%8Eu&x=0&y=0
amazonで買っても合計25,000円ちょいかぁ・・・・なかなか^^;
あ、9巻でこれだったら安いのかしら?

今日はファイターズ勝っておくれ、勝さんに勝ち星あげて~!と、
後ろに3位が迫っているこの状況、この期におよんで悪い意味で緊迫感が^^;
梨田監督も、札幌のファンの前でやめる事、一言欲しかったなぁ~
もーここでふんばれなくてどーするよ!とか、
色々ぐるぐるしてしまっている熊猫屋です(笑)

時代劇チェックは、私のいつもの備忘録は完全に趣味と主観が入っているので、
禁物ですよー(笑)。
たま~に別のチャンネルで
「あちゃーこれやってたか!」というのもあるので。

時専と日本映画専門ch共同のカツライス企画、勝さんのは全作品放送ではないのですね。
雷蔵さんは131本やるけれども、勝さんは70本かぁ。
日本映画専門chにはあともーちょい気合入れて本数増やしてほしいとこでしたが、まぁいいか。
「冷や飯と~」は、ずっと見たい、見たい、そのうちDVD買わねばと思っていたところにやってきたので、
やっほ~い♪です!
とっても良い作品らしいので、ハンカチ用意して待ってます(´▽`*)
錦之助さんて、豪快なのもあれば一方でじわっとさせる180度違う演技もあるから、
ほんとあなどれませぬ。
放送、めっちゃ楽しみです^^
2011/10/04(Tue) 20:19 | URL  | 熊猫屋 #-[ 編集]
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