映画「江戸の夕映」(1954年 松竹)
2010年07月17日 (土) | 編集 |
歌舞伎の菊五郎劇団が総出演という触れ込みの映画「江戸の夕映」です。
昭和29年の作品で、その前に菊五郎劇団が出た作品は「群盗南蛮船」(昭和25年)です。

橋蔵さんにわかファンの熊猫屋は、
「群盗南蛮船」については橋蔵さんが出演されていたという証の映画のパンフレットまでいきつきましたが、まだ映画自体は見たことがありません。
(橋蔵さんは台詞ないようなんですが、見てみたいですねぇ^^)
この「江戸の夕映」も「群盗~」を調べている過程で菊五郎劇団出演と知ったのですが、
よもや今回衛星劇場で観られるとは!非常にラッキーでした。
(「群盗~」も現物どこかに無いのかなぁ~?)

・・・・はじめにお断りしておきますが、橋蔵さんは「江戸の夕映」には出ておりませんでした。
調べても名前出てこなかったので、こりゃ出てなさそうと思ってはいたのですが。
しかし九世海老蔵丈とか、二世松緑丈などがご出演で、非常に豪華です。
(元々舞台の作品を映画化したのですね)
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(あらすじ)※衛星劇場より
幕末維新を背景に、理想に生きようとして人間性を喪失した青年と、
現実に生きて人の心を失わなかった二人の男を描き、
激変し混乱する社会の中で唯一確かなものは人間に対する信頼である事を描いた異色時代劇

(キャスト)
本田小六■市川海老蔵
堂前大吉■尾上松緑
(芸者)おりき■淡島千景
お登勢■瑳峨三智子
お蝶■草笛光子
(お登勢の父)松平掃部■市川左團次
醍醐光長■尾上梅幸
中島恒次郎■坂東彦三郎
(船頭)新兵衛■尾上鯉三郎
(総督府参謀)吉田■近衛十四郎 ほか
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(感想等)
海老蔵丈演じる小六は、既に体制が明治となりなんとする頃に、幕府側の旗本として苦々しい思いを抱いており、未だ幕府側が抵抗している蝦夷に行こうとします。
許嫁のお登勢は、そんな小六のことが心配で心が乱されるおもい。
しかし、小六は自分のことは忘れてくれと去り状を残して行ってしまいます。
お登勢は嘆き悲しみつつも、小六を年老いた父母と共に待ちます。

お登勢の従兄の堂前大吉はもまた、幕府側の勇士でしたが今は柳橋に入り浸ってます。
しかし、お登勢や小六のことを芸者のおりきと共に、何かと気にかけてくれてます。

総督府参謀の吉田は、お登勢を見染めて押しかけますが拒絶されて嫌がらせ。
屋敷を明け渡せと松平掃部に迫ったり、家を破壊しようとしたりやりたい放題。
さて・・・小六の行方と松平家の命運は?




個人的には(三世)左團次丈と、松緑丈と、十四郎さんが良かったなぁ。

お登勢の父上の掃部は、今や隠居状態ながらも毅然としたところがある御仁で、
傍若無人ぶりが目に余る吉田に対しても引かず、
(お登勢に気がある吉田に対し)自分は幕府の人間だから付き合いはご免こうむると引きません。
それに、吉田のこと(髭を見て)
「台所の洗いタワシ」って・・・・(笑)。
小六のことを忘れられないお登勢のことを察して
「(世間は忘れても自分達だけは)想っていようよ」と縁側でお登勢と話すシーンがしみじみ泣ける。
江戸を去ることにした掃部と妻ですが、娘は(小六のことがあるので)江戸に残します。
どこまでも優しいお父さんだなぁ(T_T)
毅然としつつも穏やかな人格者といった風情で、左團次丈の「静」の演技が光ります。

松緑丈の演じる大吉は、お登勢と小六のことを気にかけている道楽者で、
芸者のおりきといい仲w
とっても人情味がある人物で、ちょっと神経質で思いつめ易い小六に反発されながらも、
お登勢のためにも、少しずつ小商いをして蝦夷まで小六を探しに行く気でしたが、
その前に江戸に小六は(戦に敗れて)戻ってきます。
しかし、尚も反発する小六にいいかげんに温厚な大吉も
「男の意地だと?うぬぼれるな!こいつ、いつまでも垢ぬけねぇ野郎だ
こうなったら大吉が首に縄をつけて引き取って(お登勢のところに)帰るから!」と言い放ちます。
懐のおっきな演技の松緑丈が素敵(惚)←熊猫屋の好みっっ(爆)
あいかわらず気風のいい姉御の演技がたまらない、おりき役の淡島千景さんとのコンビっぷりも最高。
(この映画のベストカップル)

近衛十四郎さんは、むちゃむちゃ絵に描いたような「悪役」っぷりの吉田を演じてます。
悪辣の限りを尽くして、最後は(七世)梅幸丈演じる醍醐光長(出番は今回はあまり無い梅幸丈です)
に咎められ、クビになりますが、ほんっとにくったらしい(笑)。
ずかずかと屋敷に上がりこんでなめまわすような視線でお登勢を見るわ、
俺の言う事きかないとひでー目にあわせるぞな勢いで掃部一家に嫌がらせ。
しかし・・・・近衛十四郎さんて、演技より剣豪っぷりの方が話題にあがりますが、
実は結構演技の幅が広いんでは?と熊猫屋は思うこのごろなのですが、如何でしょうか?
もうすぐ時専でも十四郎さんの映画放送するし、楽しみだわ。

海老蔵丈の小六は、とてもとても神経質で思いこみが激しい人物で、
終始「どよ~んとしたオーラ」を放ちまくってます(笑)。
いわゆる「クソ真面目」ってやつでしょうか?
もう少し、大吉程じゃなくても「いいかげん」になれればもう少し人生を楽に生きることができたでしょうに、
彼はそうできない不器用な人間です。
敗戦で帰ってきて惨めさに拍車がかかり、人事不省っぷりも最高潮の小六。
そんな彼を癒すことができたのは友の大吉ではなく、
やはり彼を信じ、待ち続けたお登勢だった。
ラストシーン・・・・最後の最後でやっと彼の張りつめた糸がほんの少しほぐれた気がしました。
(あの暗いオーラをずっと保ち続けた海老蔵丈も凄いです)。

歌舞伎俳優大量出演なので、もっと舞台芝居がかっているかな?と思ったら、
思ったよりそういう所はなかったですね。
特に松緑丈と左團次丈はとっても自然でした。



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テーマ:時代劇
ジャンル:テレビ・ラジオ
コメント
この記事へのコメント
江戸の夕映え(映画) 衛星劇場の放映に就いて
標記を2010年7月に観られたとのこと、老生は昭和29年に
観ていますが、以来再観賞を希望していましたが、平成22年の本件は逸してしまいました。 如何なることでも この映画又は、記録記事 渇望しています。 貴方の読者になりたいのですが。   横浜 AY生 (84才)
2015/03/25(Wed) 11:48 | URL  | Asahi Yohji #-[ 編集]
Asahi Yohji 様
はじめまして。
このようなつたない文章のブログにご訪問下さいましてありがとうございます。
最近はブログを放置気味なので、お返事遅くなりまして申し訳ございません。
この「江戸の夕映え」についてなのですが、スカパー!の有料チャンネルの衛星劇場で当時見たきりで、
私の知るところは書いたこの記事が全てで他に知るところはありません。
DVDなどで市販化されている作品ではないので、
根気よく衛星劇場等有料チャンネルにリクエストする方法しかないのかもしれません(しかも放送事業者の問題なので、
それが確実に実行されるものではなく、確率はゼロではないかもしれませんが・・・・という程度ですが)。
お役に立てずに申し訳ございません。
菊五郎劇団が出演した映画ですし、市販化されるといいなと私も思っております。
2015/03/28(Sat) 21:19 | URL  | 熊猫屋 #-[ 編集]
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