映画「歌舞伎十八番 「鳴神」美女と怪龍」(1955年・東映)
2012年12月24日 (月) | 編集 |
(あらすじ)東映chより

歌舞伎十八番『鳴神』を映画化した底抜けに明るい異色作。
江戸時代『雷神不動北山桜』の舞台から一転して平安時代三条天皇のころに。
帝の命を受け鳴神上人は祈祷を成功させた。だが、約束を破られたことを恨み、龍神を法力で閉じ込め天下を干ばつにしてしまう。
困った朝廷は才色兼備の雲のたえま姫を鳴神上人に差し向けた。たえま姫たちは弟子たちを色気で惑わし、鳴神上人を酔わせて、ついに龍神を解き放つ。目覚めて怒った鳴神上人は…。

(キャスト)
東千代之介/乙羽信子/河原崎長十郎/田代百合子/浦里はるみ/日高澄子 ほか

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(感想等)

東映チャンネルで放送されたものを視聴。
ちなみに、久しぶりに東映から黄金期のDVDが出たんですよね。
それがこの作品です。

この作品、東千代之介さん主演ではあるのですけれども、
キャストがいつもの「東映」っぽくないんですよね。
乙羽信子さんしかり、
河原崎長十郎さん(奥様の河原崎しづ江さんも)や河原崎國太郎さん、嵐芳三郎さんなどの<前進座>の皆さんのご出演もあり、

「なんだろう?この映画。どういう経緯で作ったのかしら?」と思ったのです。
(いつもの東映メンバーが極端に少ない。田代百合子さんとか、あとは吉田義男さんとかちょこっとはいるけども)
・・・・と思ったら、やはり前進座創立25周年記念だったそうですね。
(前進座率が高いと思ったら)。


ちなみにこの作品、1955年のキネマ旬報ベスト10の第10位にも入っているそうです。
(東映作品はこの年は8位に千恵蔵御大の「血槍富士」もありまする)

そういう経緯の作品なので、劇中劇の芝居小屋場面とか、歌舞伎の前進座なのでそこんとこは安心して見られるようです(笑)。

脚本に新藤兼人さんのお名前が。

出だしの劇中劇は「鳴神」の、朝廷が鳴神上人の約束を反故にしたために鳴神上人が怒って(雨を降らす)龍神を閉じ込めたことで、
百姓達が雨が降らないことに困り果てて朝廷に押しかける・・・という場面でしょうか?

面白いのが、その劇中劇から古(いにしへ)の場面に転換されてるのですよね。
場面転換されて最初のところ、3人いるのは
小野春道(瀬川菊之函さん)・春風(片岡栄二郎さん)親子と、
文屋豊秀(東千代之介さん)。
続いて出てきたのが関白基経(嵐芳三郎さん)。

その次に、こなきじじいのようないでたちで(爆)
「いやぁー!」と鎌持って奇声あげて出てきたのが早雲王子(河原崎國太郎さん)。
(かなりコミカルですなぁw)

「約束が違いますぞ!」と怒鳴りこんできたのが鳴神上人(河原崎長十郎さん)。

帝の御子が宿った時に、女子だったのを男子にせよとのことで承ったのが鳴神上人。
御堂の建立を鳴神上人は願い出て、それを約束として鳴神上人は30日以上も祈り続け、
無事男子が誕生した。
なのに、待てど暮らせど御堂建立の沙汰が無い。
怒った上人は、龍神を閉じ込めて雨が降らないようにしたのだ。

小野春風や文屋豊秀らは確かに御堂のことは命じたはず・・・・だったのだが、
早雲王子が桃井中将(中野市女蔵さん)に命じてやめさせたらしい
(なんですとー!)
桃井中将に豊秀は天下の政で決まったことを何故中止したと問いただすが、
桃井中城も困った顔で、その旨は自分も早雲王子に申し上げたらしい。

が、早雲王子が言うに、鳴神上人に堂なんぞ建てたら比叡山の僧侶たちが怒るに決まってる。
鳴神上人一人と、比叡山三千人とどっちが大切か?と。
だから止めたんぢゃい!というのが早雲王子の言い分。

で、場面変わって・・・・・
吉田義男さん@僧の遠真、強面が冴えわたるぅぅぅぅううう!!
(笑・めっさ怖い顔。さすがのインパクト)
鳴神上人が御所に来たのを知った遠真が、
御所に乗り込んできたぞー!!

関白基経は豊秀らに「お前達が何とかせんかい!」と、
まるで他人事のように逃げ・・・・orz

騒いでいる遠真らの声を聞き、ほくそ笑む早雲王子。
騒げば騒ぐほど、今の帝の位が危うくなる。
そうすれば、自分にチャーンス!という算段らしい(やっぱりそうか)。

雲の絶間姫(乙羽信子さん)に御所から呼び出しが。

一方、豊秀らは上人の法力を解くために、
陰陽師の安倍晴明(高松錦之助さん)を呼び出して方策を練っていた。
(陰陽師は「陰陽寮」に属する官人。官人としての身分は低い)
そこへ、雲の絶間姫が。
一部の皆さま、鼻の下をデレーっとさせてますがw
姫の視線は豊秀にあり??

上人の法力を解くには、ある文書を読まねばならぬのだが、
二か所ばかり、安部晴明をもってしても読めないらしい。
姫の祖父が読むことができたらしーのだが、それで姫に白羽の矢が立ったらしい。
安倍晴明さまほどの学者様が読めないものを、わたくしに読めるはずが・・・・などと謙遜する姫ですが、
何気に晴明をディスってません?(爆・コメカミに「怒」の文字が浮き出そうな晴明さん)
姫はやりたくなさそーですが、
姫の侍女(河原崎しづ江さん)が一日一夜考えましょう・・・・としゃしゃり出てきます。

関白も、これが解ければ姫の願いを何でもかなえましょう♪と、にこやかに念押し。

姫に、豊秀さまと縁組させていただくことができますよと侍女焚きつけ&入れ知恵(笑)

春風が姫のところに来たのに、豊秀が来たと知ると
「ちょっと遠慮して下さいませんか?」と春風が来たばかりなのに・・・・姫っ(爆)

豊秀も姫が文書を解けるとか心配できたのだが、姫は涼しい顔。
更に、解けたら関白が何でも願いをきいてやるという御褒美に、豊秀と夫婦にしていただこうかと、
大胆に言う姫(豊秀・冷や汗&盗み聞きしていた春風ガックシ)
春風が聞いているとも知らず、春風の妹姫@許嫁のことは心にないと豊秀は口走り、
あ~~~~春風怒ったかな^^;

翌朝、関白らの前で夜明けと共にすらすらっと解けたと言う雲の絶間姫。
姫は、願いを叶えて欲しいが早雲王子に承認に立ちあって欲しいと言い、
早雲王子がいる前で豊秀と夫婦にさせて欲しいと願いを言う。
(早雲王子が姫から何度も振られていたんで、王子をけん制するためかっww)


文書のそのこころを早速・・・・とはやる関白らだが、
せっかく解いても鳴神上人の耳に入ったらいけないと、
姫は自ら北山に行って法力を解きたいという。
一堂はどよめくが、関白はさすが絶間姫と了承される。

早雲王子から何を言われたのですか?と、
姫に過去を聞きたがる豊秀
↑自分のものになるからと確定したとたんに、これはちょっとしつこいよ^^;

姫は途中まで豊秀らの付き添いをうけ、北山に。
途中から先は、馬を引く者と、兎よりも早く走ることができるという侍女2名で姫は旅立った。
道なき道も行き、侍女に文書の巻物を出させると、
こともあろうに姫はその巻物を崖下に放り投げたっ!( ̄□ ̄;)!!ナンデストー
姫は、私にはその巻物は読めないし、たとえ読めたところで上人の法力なんて解けないと言ってのける
(えええー!!!)


そう言って、いきようようと先を行く姫。
滝では、上人が法力を念じている。
上人の供の坊主二名は、酒で気を紛らわそうとなまぐさっぷりを発揮していると、
崖を上ってくる女たちの姿を発見。
上人に告げるが、上人が見ると女達はいない。
供の坊主がまた指を刺すと、絶間姫らの姿が。

あれは法力を破ろうとするもののけかっ!!と、
上人が念じはじめる。

別の場所で姫を待つ豊秀や早雲王子、姫の侍女。

夜、未だ上人が念じているところ、笛の音に気づく上人の供の坊主たち。
見ると女が舞い、楽器を奏でている(どうやら姫の一行)。
上人も気づくが、都の女がこんなところに来るわけが無い。
もののけかもと、坊主二人を様子見に出す。

坊主が近寄ると、姫は楽器を片手に微笑み、
今度はエキゾチックな音と共に女が舞う。
坊主たちはすっかりデレ~っと魅了されている様子(笑)。
上人も気になりかけるが、あわてて再び法力を念じる。
そのすきに姫はその場を抜け出て、上人の近くへと・・・・?

地上では豊秀が気をもんで眠れず。

坊主たちはすっかり酔い潰れた模様^^;

上人がふと目を向けると、近くで女人@姫がすわりこんでいる。
上人が女に話しかけると、近くに住む夫に別れた女だという。
死に別れて今日が四十九日だという女に、
上人は南無阿弥陀仏と唱えてやる。

女は、夫の形見の薄絹を洗おうと思ってこちらに来たが、
一滴の雨も降らず、どうしたものか・・・・とよよと泣き崩れる。
上人は、険しい道を超えて夫の形見を洗わんとやってきた女に感銘を受ける。
そして、女人禁制の場なのに近くまできてもっと話を聞かせてくれぬかと女に言う。

女が近付いて話はじめるが、龍神が騒ぎ始める。
そのたび上人へ法力を念じて鎮める^^;
姫は(上人に邪念が入ってw)法力が徐々に弱まっていくように、
嘘からでまかせの亡き夫の話をしながら、
上人にボティタッチをしたりなんかして、邪念を膨らませさせる(笑)

すると、突然上人がうめき声をあげてひっくり返ってしまった。
驚いた侍女たちが姫に駆け寄るが、隠れてないとダメじゃないのと姫。
姫は水を含み、口伝えで上人に水を含ませると、上人が目を覚ました。
一滴の水で爽やかな気分になったという上人だが、
姫が口伝えであげたのを知ると、怒りだし、さては我の法力を破ろうと来たな!と。

そこで姫はひるまず、そんなお疑いをもたれるなんてと入水しようとする。
上人は驚き、姫をつかまえて尼になれという。
姫は「まぁ、上人様の弟子に?嬉しい♪」と気絶
(爆笑・女人断ちしてる上人と、お姫様のやりとりにしてはなかなか大胆ですのぅ)

気絶した姫を、どうしたのじゃ?と心配する上人。
もうはや「お師匠様」と呼んでくれる姫にでれっとしてますがな(笑)
早く髪を切って尼に・・・・という上人の言葉をはぐらかすように、
癪が・・・・と姫。
更に、背中をさすって下さいと(策士ww)

こともあろうに姫は、腰をさすって下さいとか、
しまいには胸をさすって下さいとかエスカレート^^;おいおいおい嫁入り前の娘がっっ

急に姫が「何をなさいますっ!!」と飛び退く。
上人「あれが・・・・乳か・・・・破戒ぢゃ!」と、恍惚の表情で(あぶない人すぎる)
そなたのためなら何もかも捨てて・・・と、すっかり法力を忘れて、
姫LOVEモードの上人。
夫婦になるにはまず御盃を・・・・と、姫は侍女に酒を持ってこさせる
(上人、その準備のよさに疑いもたんのか???)

酒をぐいぐいと飲ませ、上人はぐでぐでに酔う。
(ここのくだりの上人のぐでぐでデレデレ具合が笑える)
こともあろうに、酔った勢いでしめ縄を切れば雨が降ると上機嫌でのたまう上人
(法力解除の方法キター!!(・▽・))


あとはご想像の通り、姫がしめ縄を切ると龍神様が・・・・・!!!

雨ぢゃー!雨が降ってきたぞー!!♪(歓喜っ!)


騙されたと知った上人(後のまつり)

その鬼の形相の上人から、再び冒頭の劇中劇に戻り、
舞台で鳴神上人が所化たち相手に大立ち回りのシーンから。
河原崎長十郎さん、ド迫力っ!かっこええっ!!(・▽・)V

花道を鳴神上人が飛び六方で行くところでこの映画が終了します。

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見終わって、
「この映画は、乙羽信子さんと河原崎長十郎さんが主役やね~♪」と感じた熊猫屋です。

ちなみに、「歌舞伎on the web」で同演目を調べたところ、
戦後最初の「鳴神」@歌舞伎は1946年で、
上人が九世海老様(十一世團十郎丈)、絶間姫は三世菊之助(七世梅幸丈)、坊主二人@黒所化と白所化が七世坂東彦三郎(十七世市川羽左衛門丈)と二世松緑丈という、今となっては
「なにそれ、その超ゴージャス配役」なものだったようです。

歌舞伎の演目では上人と姫がメインなのだから、
そりゃまー他の扱いがごにょごにょ・・・・でもしょうがないですよね。

その中でも、早雲王子の河原崎國太郎さんはなかなか異彩を放っておられましたなw
コミカルな演技で冷やかし役というか(笑)。
帝の血筋の者なのに、現代言葉であまり美しくない言葉も吐いてましたが(爆)、
表情演技とか楽しかったです。

吉田義男さんは、比叡山の坊主役ですっごく短い出演ながらも、
その強面っぷりをいかんなく発揮されてましたわ(わはは)。

乙羽信子さんは可憐な雰囲気を漂わせながらも、色仕掛けで上人を騙す役柄でもあるので、
お姫様なのにビッチ手前のぎりぎりなところで小悪魔っぽい味付けが絶妙。
この役に乙羽さんっていうのははまってるなぁ。
大映に多い色気たっぷりの女優でも合わないし←可憐さ不足&色気前面だと困る
東映のお姫様女優さん達でもある意味可愛いだけで合わない←色仕掛けに不足
脚本が新藤兼人さんだから乙羽さんに合うように書いたかしら?と思いつつもw
この役は彼女にピタッと合ってました(結構難しいバランスの上にある役だと思ったですよ)。

東千代之介さんは、東映作品ながらも準主役というか添えに近い役周りでしたかね。
絶間姫と相愛の役柄ながらも、
本筋で重要な役柄というわけでもないので、
終盤では特に必要性もなくなってしまったあたり、
東映作品というよりも、より「前進座創立二十五周年」色が強くなったなぁ~と。
しかし、冒頭の舞台場面で踊る千代之介さんを見ることができたのは眼福でございました♪

歌舞伎のツケの音とか、舞台場面以外でも使われていて、
三味線の音とか、なかなか効果的に使用して雰囲気ある映画だなぁと感じました^^




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テーマ:時代劇映画
ジャンル:映画
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